ただいま、オーディブルで彬子さまが書かれた本「赤と青のガウン オックスフォード留学記」を聴いています。とても面白くて、外国暮らしという点で私の大昔の学生時代のドイツ生活を思い出しました。
今回から時々、大昔(なんと日本は昭和だった)の私の学生時代のドイツでの体験を紹介したいと思います。
気が向いた時に気が向いたことを書くと思うのでよろしくお願いします!
今回はここで一度は紹介した、生まれて初めてドイツに行って、ホームスティ先で「日本食パーティー」をした件です。
「日本食を作って!パーティーをしましょう!」と
ホームステイを始めて2週間がたったある日、ホストファミリーのおとうさんからの提案。「学校の日本人のお友達を招待してパーティーをしよう。みんなで日本食を作ってくれないか?」
いいねえ、でもみんなそれぞれのホストファミリーとの予定があるのではないかなあ?と不安に思いつつも、語学学校の日本人仲間にこのことを話すと、皆とても嬉しそうにOKと返事をしてくれました。
日程は次の日曜日。11時ごろに私のホストファミリー宅に集合して、日本食を日本人仲間で作ってパーティーをする。決定です。
さて、では何を作ろうか?
私は日本での学生時代はアパートに一人暮らしで自炊をしていたけれど、なにしろ仕送りをしてもらえなかったので(奨学金はしっかりもらっていた)とにかく節約。1にも2にも節約な学生時代を送っていたので、毎日キャベツと小麦粉と豚バラ肉のみで生きていたんです。
つまり、お好み焼きばかり焼いて食べていたのです。
料理をすること自体は嫌いじゃなかったし、自宅にいる頃はお弁当も作っていたけれど、しばらく「料理はお好み焼き」な人生を送っていたら、レパートリーがなくなった!
ホストファミリーがとても楽しみにしているのに、私って料理の本を見ないで作れる料理がお好み焼きしかない!
当時はもちろん、ネットなんてない。今だったら早速クックなんとかを見て、簡単なドイツでも作れる和食のレシピを探すけれど、太古の昔ではそんなことは出来ない。
それに、食材に乏しいドイツで手に入る食材を使わないとならないのよ。
「買い出しに行くけれど、何が必要なの?どのキャベツ?」
やっぱりお好み焼きかなあ〜小麦粉だったらドイツにだってあるはずだし。
パーティーの前日、土曜日にホストファミリーのLさんに「明日は何を作ってくれるの?材料を買ってくるよ」と言われ、お好み焼きにすることに決定。その旨を伝えました。
薄く切った豚肉と小麦粉と卵と、それからキャベツが欲しいのだけど
わかったわ〜
で、キャベツ(Kohl)はどのキャベツ?
え?キャベツってあれでしょ?キャベツでしょ?
ドイツ語はまだまだうまく喋れなかったけれど、キャベツはドイツ語で「コール」というのは知っていたのです。だって、当時の西ドイツの首相がヘルムート・コールだったから。
どのコールなのかな?
グリュンコール?ヴァイスコール?ローゼンコール?ヒナコール?ロートコール?
え?だから普通のコールだってば。
普通のコールってどれなのかな?
そのコールは緑?白?赤?小さいの?それとも??
「キャベツはドイツ語でコール」としかわかっていなかった私です。
ん?
色は…緑、そう緑!
わかった〜と言って買い物に出かけたLさん。
買い物から帰ってきて「これでしょ?」と見せてくれたのはヒナコール(Chinakohl白菜)でした。
ありゃ〜困った!白菜でお好み焼きなんて作ったことないよ!
白菜もキャベツ(コール)の一種なのか
今だからわかるのですが…
コールと言われると
- グリュンコール(Grünkohl)=「緑のキャベツ」、ハンブルクあたりでよく食べられるケール(当時はドイツの他の地域では入手困難だった)
- ヴァイスコール(Weisskokhl)=「白いキャベツ」、これがいわゆるキャベツ。日本のものより硬くて白っぽい。当時は日本人好みのSpitzkohlはなかった)
- ローゼンコール(Rosenkohl)=芽キャベツ
- ロートコール(Rotkohl)=紫キャベツ
- ヒナコール(Chinakohl)=「中国のキャベツ」、白菜。
ホストファミリーのLさん、私が「色は緑」と言ったから「グリュンコールかな?でもそんなことはないよね?日本食で使うんだから、そうだ!中国のキャベツだ、白菜だ!あれは緑色をしている」と思ったに違いない。
「違うよ〜白菜じゃないよ〜」と言いたくても、その時はもう土曜日の午後。お買い物には行けません。(当時は土曜日は午前中しかお店があいていなかった)
キャベツではなくて白菜で助かった話
あ〜あ、困ったなあ。お好み焼き、うまく作れるかな?
心配をしながら迎えた日曜日。日本人の仲間が来たので事情を伝えると、「白菜でも大丈夫じゃない?」という返事。
というわけで、パーティーに参加した日本人7人と一緒に白菜を使って豚肉と小麦粉でお好み焼き(もどき、と言いたい)をせっせとつくりました。
今考えると、ドイツの小麦粉は中力粉だし、豚バラ肉の薄くスライスされた肉はドイツでは入手出来なかったはず。
どうしたのだろう?豚肉に関しては記憶にありません。ツナ缶だって当時のドイツにはなかった(か、珍しかったはず)
おまけに広島出身の私が愛する「お好み焼きソース」なんてなかった。これはケチャップと何かのソースを混ぜて作った記憶がありますが。
だけど、そのお好み焼きは結構美味しかったんです。焼いた分はこの時、皆で全て食べ尽くしたのです。以前書いた通り、他の日本人はそれまでドイツであまりたくさん食べれずに困っていたらしいけれど。
この時は知らなかったので、「白菜じゃなくて、キャベツで作りたかったなあ」と思っていましたが、実は、白菜で作って正解だったのです。
2度目のドイツ滞在が始まって、自分でも色々料理をするようになってから知ったのは、
ドイツのキャベツは硬くて、焼いただけではなかなか柔らかくならない!
ということ。(今ならお好み焼きに使えるキャベツがあるけれど、当時はなかった)
もし、あの時、生まれて初めてドイツで料理をした、あのホストファミリー宅でのパーティーの日にキャベツを使っていたら、お好み焼きの中のキャベツが硬すぎて食べられなかっただろう、ということ。
ホストファミリーのLさんが白菜を買ってきてくれて助かった!
ドイツの白菜はサラダにして食べることが多いし、水分たっぷり。だからお好み焼きの生地に混ぜて焼いただけでも違和感なく食べることが出来ました!
赤と青のガウン オックスフォード留学記(リンク先はアマゾンの文庫本)
女性皇族として初めて海外で博士号を取得された彬子女王殿下による英国留学記です。イギリスも公共の乗り物がアテにならないとか。どこもヨーロッパの国って困ったものだわ…(日本が贅沢なのかもしれない)
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