早いものでもうあれから35年が経っているのですが、今更ながら私がドイツで学生生活を送っていた時に経験した合唱団での活動を紹介します。
大学生以外でも入団できた合唱団
日本の大学でもサークル活動がありますよね。
ドイツの大学でも色々なサークル活動があり、オーケストラや合唱団などはおそらくどの大学にもあるのではないか?と思います。
大学のサークルとはいえ、別に大学生でなくても入団できるところが多いような気がしますが、詳しいことはわかりません。
私がドイツで語学学校に通っていた時、その町(大学街)にあった合唱団に入団しました。これはその時の経験談です。
友人と入団試験に行った
ドイツ生活が始まってまもない頃、同じ語学学校でドイツ語を学んでいた日本人の友人が「大学の合唱団に入りたいから今日、入団テストを受けに行く」と言うではありませんか。
まだドイツに来たばかりでドイツ人の集まりに私も参加できたらいいな、それも好きな音楽で参加できたらいいなあ、と思った私。私もその合唱団の入団テストを受けに行くことにしました。同じ学校でドイツ語を習っていた日本人4人でゾロゾロと出かけたのです。
テストと言っても簡単なもので、ちょうどその時にその合唱団が練習していた曲の中の1曲を歌うだけ。
いくら日本の大学で音楽を勉強したとはいえ、私は声楽の専門訓練を受けたわけではありません。
でも入団テストをした、その合唱団の指導者らしき女性が「あなた、いい声をしているわね〜ソプラノに決定!」と。
同行した仲間3人も入団を認められました。
その合唱団が当時練習していた曲はメンデルスゾーンのオラトリオ「聖パウロ」。
教会音楽に特に関心がなかった私はこの曲をそれまで知らなかったし、この合唱団がなぜこの曲を練習しているのかも全く知らず、ただ友人が合唱団の入団テストを受けに行く、と言うことに興味を持って同行しただけだったのです。
その後、その友人ら3人は合唱団を辞めてしまい、残った日本人メンバーは私だけに。ここで私以外はドイツ人だけになった(当時は外国人が少なかった)合唱団で、周りのドイツ人の会話が理解できずに困ってしまい、私も合唱団から抜けてしまえばよかったのです。なのに、なぜかコンサートが終わるまで練習に参加し続けた私です。
何を我慢してせっせと参加していたのだろう?
合唱団の合宿に参加した〜わけもわからず
ある日、週に2回の練習にいつものように出かけたら「週末はProbewochenendeです」。何のことか分からずに隣にいたドイツ人学生に尋ねると「Aという村の教会で2泊3日で練習をするの」と言うではないですか。
え?泊まりがけ?合宿?私、この合唱団のメンバーに特に親しい人はいないし、第一、私以外皆ドイツ人でわたしはドイツ語があまりできないのに!
シュラフ(Schlafsack)持ってる?
え?シュラフ?そんなの持ってないよ〜使ったことも一度もないよ〜!
だったら私2つ持っているから、1つ貸してあげるわ
合宿場所のAという村にはここから車で1時間ほどだと言う。
合宿所へは誰の車に乗せてもらうの?え?決まっていない?
そうです、Aという村までは大学生のメンバーは車を持っている人が他のメンバーも乗せて行くことになっていたのです。
私を助けてくれた隣にいた女性が「誰かまだ一人乗せられる人いない?」と聞いてくれて、とある男子学生の車に席がまだ1つあったので、その学生の車で合宿所まで行くことになりました。
乗せてくれると言うのだから文句は言えないけれど、その男子学生の車は古くて小さな車。学生が買える車なのだから大きな乗り心地の良い車を持っているとは思わないけれど。
その小さな車に男子学生3人乗っていて、その中で女の子は私一人、日本人は私一人という、今思うと「よく乗っていったわね」という有様。これで合宿をする教会まで出かけたのです。
お金をかけずに旅行をするドイツ人学生の姿を垣間見た
合宿所はその村の教会。
教会の多くには広い部屋があって、ピアノもあって合唱の練習にはピッタリです。(大体、教会自体が合唱団を持っていることも少なくない)
そのピアノもある部屋で合唱の練習をした後、夕食を食べ、練習をした部屋でシュラフで雑魚寝。雑魚寝なんぞ日本の学生時代でもしたことがなかった私はびっくり。
この教会は特に寝泊まりできる施設はついていなかったのです。だから広間でシュラフで寝る。
起きるとトイレの洗面台を使って体を洗い(トイレだから男女分かれている)朝食。
この時初めてドイツ人がシャワーやお風呂の代わりに「体を洗う」ということをすることがあるのを知りました。
合宿所となった教会には宿泊施設はなかったので、お風呂もシャワーもありません。
そんな時はWaschlappenというタオル地のものを濡らして(石鹸をつけて)体をゴシゴシと洗います。
これがWaschlappen。これを手袋のようにして手をいれて、体を洗うのです。
これをトイレの洗面台を使ってやっているのです。さすがに私は抵抗があったので「2日はシャワーなしで我慢しよう」。(冬だったし、スポーツをしていたわけではないから汗もかいていないし)
いくら男女分かれているトイレとは言え、洗面台の前に立ってパンツを脱いであそこを洗っているのが他の女性に丸見えよ〜ちょっと抵抗があったわ
朝食はクヴァーク(Quark・フレッシュチーズの1種)という乳製品を使ったミューズリー。これが私のお気に入りとなって、近くに座った学生に「これどうやって作るの?」と尋ねました。
なのでクヴァークを使うのは知っているのだけど、なんだか学生が作ったようにできないのよね。どうしてだろう?
合唱団の本番はオーケストラ伴奏だった
なんとか合宿も無事に乗り越え、合唱団のコンサート本番がやってきました。
本番とその前の総練習(G.P.)の時間と場所、本番の衣装しか把握していなかった私。楽譜のカバーを用意するのを知らなくて、本番前の休憩時間に慌てて近くの画材店に駆け込み、黒い厚紙を買ってカバー完成。
本番はオーケストラ伴奏だということも知らず。本番前の練習で初めて知った事実よ。(オーケストラ伴奏でもピアノ伴奏でも歌を歌うには変わりないからよいが)
メンデルスゾーンの「聖パウロ」という曲は2時間くらいかかる曲。いきなり入った合唱団で訳も分からず、右も左もわからず、周りの学生に教えてもらいながら(親切な人が多かった)なんとか生き延びて唯一の日本人として舞台にたった私よ、よくやった!
…と今更ながら自分を褒めてやりたい。と同時に、色々我慢したのよね。わからないことだらけで不安なことも多かったのよね。
なのになぜ続けたのだろう?若かったからかな?
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