東京、上野にある音楽大学の上野学園大学が学生の新規募集を停止した、というニュースが入ってきました。実際に大学のサイトを見ると、7月22日にそのように発表されています。
現在すでに入学されている学生は卒業までサポートするが、それ以降は閉校、ということのようですね。
正直言って、このニュースを聞いた時「ああ、ついに・・・」と思いました。
私は音楽を勉強していますが、日本を離れて久しいので、実は日本の音大の事情には詳しくありません。ましてや私立の音大や他の大学の事情には詳しくありません。
なので、的外れなことを書いてしまうかもしれませんが・・・教育機関というものの経営、というのは大変なことで、ビジネスと教育をする上での大事なことは往々にして相反する、と思うのです。
大体、教育と医療は「これで金儲け」という心構えではできない分野ですよね。
上野学園大学の場合は2015年頃から経営悪化が問題視され、2016年から17年にかけてお家騒動も起こっています。
今回の学生募集停止には少子化はあまり関係がなく、あのお家騒動が発端だ、という人もいるようですが、いずれにしても数年にわたる定員割れ。
少子化も全く関係がない訳ではないでしょうね。
私立大学は受験費用や学生からの学費で経営の大半が賄われているはずです。
大学にとって、受験する学生が減れば受験での収入も減り、学生が減れば当然授業料などの収入も減ります。
それでも教育機関が生き延びようとすれば 簡単に大きく分けると
- 質のよい授業や卒業後の進路の安定性、ここで勉強すると実力が付くなどの高レベルで売る
- 誰でも入れるよ〜〜と、とにかく大学に入りたい人を出来るだけたくさん集める
このどちらかになるかと思います。
高いレベルだから、ということを売りにしようとすれば、それ相当の教授陣を揃える、設備を整える、などが必要になってきます。すると経費がかかる。しかもそれをペイできるほど学生が集まる保証はありません。
誰でもいいから人数を集める、となるとクオリティーが低下してしまう。
どちらの道をとっても、ビジネスとして学校を経営するとなると理想的とは言えないですよね。
上野学園大学はレベルの高い音大で、この大学の話ではないのですが、
数年前に日本である私立音大のレベルを聞いた時、目の前が真っ暗になったのを覚えています。
それは地方のある音大で、30年くらい前はそれほどレベルが(地方としては)低くなかったのですが、最近は簡単に言ってしまえば「ピアノが弾けなくてもピアノ専攻で入学できる」と言ったレベルである、という事。
(実際に耳にしたのは少々違うのですが、詳しくは忘れてしまいました)
定員割れしてしまうので、誰でも、ピアノを昨日始めました、というレベルでも音大に入れてしまう、という事らしいのですね。
ピアノもろくろく弾けないのに音大に行ってどうするのでしょうか?学生自身が演奏できないのにピアノの授業を4年間受けるのが楽しいでしょうか?かつ学生のためになるのでしょうか?
しかも親はその期間高い学費を払う・・・
そして、問題は卒業後です。
そうやって「音大卒です」でなんの役に立つのでしょうか?
「大学卒というレッテルがもらえればそれでいい。卒業後は結婚して専業主婦」という考えは21世紀の現在は絶対にやめておいた方が良い!と(その昔、30年前は専業主婦になりたかった)私は思います。
・・・話が少々それましたが、教育機関とビジネスという点で、私自身、悩みながら仕事を続けてきました。
私の本業はピアノの先生、ですが、まったく個人でやっています。公立の音楽学校に勤めていれば、生徒が少なくなるかも、という不安はある程度は考えなくても良いかもしれないのですが、個人で経営していると
「ここでこの子が練習をしていないことを指摘すると直ぐに『ピアノやめます』と言うかもしれないなあ・・」
と心の中で思っていることがあります。
また、「この子はピアノより、別の事をさせた方がいいなあ。親御さんはピアノをさせたがっているけど」
と思っていることもあります。
そして、・・・はっきりとその旨を伝えれない自分がいます。
生徒の数が直接収入に結びつくと、やはりたくさん生徒が欲しい、と思ってしまうのですよね。
特にその生徒さんがピアノは下手でも性格がよくて教えやすかったりすると・・・
コメント