指揮者の小澤征爾さんが今年2月6日に亡くなられた、というニュースが流れたのが本日2月9日。
小澤征爾さんは1935年生まれだそうなので、享年88歳。
私は特に小澤征爾さんの作る音楽のファンだというわけではなかったけれど、小澤征爾さんは尊敬する音楽家の一人でした。
そして、私がドイツに行く行動を起こさせた一人でもあったかもしれません。
図書館で手にとった「ボクの音楽武者修行」
一時期話題になった本なので、一定の年齢以上の方は小澤征爾さんといえば、この本のことを思い出す人がいるのでは?と思います。
私はこの本「ボクの音楽武者修行」に、中学校の図書館で出会いました。
当時の私はまだ小澤征爾さんの存在を知らず。ただなんとなくタイトルに魅力を感じてこの本を借りて…
もう無我夢中で読みました!
その頃は読書が好き、と言っても長時間集中して本を読むことが出来なくて、40ページくらいの短編ばかり読んでいたのに、なぜかこの本は最後まで夢中になって読んだのです。
音楽をするにはその音楽が生まれた土地、ヨーロッパに渡りたい。そのために必要なお金、そしてヨーロッパでの移動手段としてオートバイかスクーターが欲しい。
スクーターを宣伝しながら移動すれば旅費、滞在費も出せるのではないか。
そのために動き、富士重工からラビットジュニア125ccというスクーターを借りることが出来たそう。
そのスクーターを借りる条件が
- 日本国籍を明示すること
- 音楽家であることを明示すること
- 事故を起こさないこと
だったそうで、そのために小澤征爾は白いヘルメットにギターをかついで日の丸をつけたスクーターにまたがって欧州を走った、と。
この「スクーターを借りてヨーロッパを走った」というのが忘れられず。しかも日本からヨーロッパまでの移動は貨物船!1959年のことです。
そして同年にはフランスのブザンソン国際指揮者コンクールで第1位に輝いているのです。
いや〜もうすごい!
「行ってみたいと思えば行動しろ!」と教えられたような、そんな本でした。
同じ在外邦人として
私がまだ日本在住だった頃、音楽家をいえば欧米、特にヨーロッパの音楽家の方が人気でした。
私も含めて、やはり「本場のヨーロッパの音楽家だから」と欧米の音楽家を尊敬。日本人の音楽家のコンサートにはあまり行く気になれない、というのが本音だったかと。
ところがドイツに住み始めると、やはり日本人の活躍はめちゃくちゃ嬉しい!
その中で小澤征爾さんの活躍は素晴らしく、ドイツで小澤征爾のCDが好評だったり、コンサートが好評だと私までが嬉しい思いをしていました。
その中でも2002年のウィーンフィルのニューイヤーコンサートを指揮されたのは最高です。
そういえば、
確か1994年ごろだと思うのだけど、友人がデュッセルドルフのラーメンレストラン「なにわ」で食事をしていたら、隣に小澤征爾がいたそうで、その話を聞いた直後は和食のレストランに行くたびに
「有名な日本人音楽家とかいないかなあ」
と店内をキョロキョロしていました。お店の人には私が不審者のように見えたかも。
残念ながら、私はついに小澤征爾さんのコンサートに行くことが出来ず、どこかでお会いすることもできませんでした。

著書やCDはいくつか持っています。
特にお気に入りといえば、やはり小澤征爾さんの自伝である「ボクの音楽武者修行」、それから作曲家・武満徹との共著「音楽」(1984年)です。
「音楽」は対談形式なので読みやすいのもお気に入りの本になった理由の一つ。
とはいえ、読んだのは30年以上前。また読んでみようかな?
小澤征爾氏のご冥福をお祈りいたします。

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